次の朝、志保は匠の悪巧みを探るべく歩き始めた──そのとき、志保を呼び出す園内放送が流れる。
「? なに? 忙しいのに」
眉を寄せて園長室に入ると、いつになく目が真剣な園長が彼女を見上げた。
「君、仕事しているのかね?」
「ハッ!?」
目を据わらせて発する園長に半笑いを浮かべ、しばらく沈黙した。
「君は学園の生徒を退学させたいのかね」
「そんなつもりはありません。ただ、何かあってからでは遅いと──」
語尾まで言えずに喉を詰まらせた彼女を見て、園長は小さく溜息を吐いた。
「わざわざ騒動を起こすようにし向けたりしかねんな」
「! そんなことしません」
「生徒の尻を追いかけるのはやめたまえよ」



