放課後──美術部のモデルを済ませ、家路に就こうかと学園の入り口にいる匠の前に志保が現れる。

「事件は解決したの?」

「事件? 花崗岩の件なら済みました」

「どうだったの?」

「大したものではありません」

「! ちょっと、説明無いの?」

「はい、学園長にはお話ししましたので、知りたいのでしたら直接、学園長からお聞きください」

 そう言われては問い質す訳にもいかず、志保は匠の帰宅準備を見つめた。

「ではまた明日、さようなら」

「あ、ええ。気をつけてね」

 軽い会釈に応え、遠ざかる背中を眺める。