園長や周りの教師たちのなだめる言葉に半年間、我慢を重ねてきた。

「ただの快活な生徒? とても優しくて思いやりのある子? よくも言うわね」

 ぶつぶつとつぶやきながら、志保はズンズンと廊下を歩いていく。

「!」

 そんな彼女の前から向かってくるのは周防 匠ではないか! 他の生徒たちの中にあって、その存在感を際立たせていた。

 自然と顔が険しくなる。

 しかし彼は今、何かしでかしている訳じゃない。

 呼び止める訳にもいかず、志保は匠の姿を見つめた。