残ってたんだから問題無いわよねと自分に言い聞かせ、傷口を水洗いして絆創膏を貼った。

「あなた剣道部だった?」

「臨時部員です」

 へらっと笑う。

「……こないだはバスケの試合に参加してた気が」

「バスケも臨時部員」

 なにこの運動バカは──志保は呆れて目を丸くした。

「あ、そうだ。志保先生」

「なに?」

「花崗岩を気にしてたようだけど、あれ美術部が彫刻するらしいすよ」

「! 何を彫るの?」

「部長が匠をイメージした像を彫るって」

 まだ誰も届け出が無いから彫刻に取りかかるって言ってました。

 健の言葉をぼんやりと聞きながら、「彼はホントに人気あるのね」などと考える。