白衣をひらめかせ、志保は風を切って廊下を歩く──彼女は、この学園の保険医だ。 学校の保健室に常駐している者には珍しく、ちゃんと医師免許も持っている。 「みなみ女医」と生徒たちからは呼ばれている。 彼女は半年ほど前にこの学園に赴任してきた。 長い髪を後ろで一つに束ね、つり目からは若干の威圧感を放っている。 「生徒たちの前では厳格にしていなければ!」という気持ちが、彼女の表情を厳しくさせているのだろう。