匠の微笑に負けた志保は保健室に戻る──思えば彼女は保険医で、匠たちと接した事はほとんどない。 耳に入る彼らの噂に驚くやら呆れるやらで、さすがに我慢しきれなくなったというのが現状だ。 しかし、実際に接してみるとさほど悪い印象は感じられない。 「ううん! きっとネコ被ってるんだわ!」 頭を振って意識を切り替えた。 とにかく、あの生徒には要注意だわ……キリリと目を吊り上げ、決意したように拳を硬く握る。