次の日の朝。
最後だけど、少しでも可愛いと思ってほしくて昨日雑誌を読み返して、頑張ってオシャレをした。

駅までの道のりは、思ったよりも軽かった。なんだかんだで楽しみなのだ。好きな人と遊ぶのだから。


「(いた)」


駅前の噴水の前に立っている遥。やっぱり遥はかっこいい。いるだけで、目立っている。通る女の子は皆振り返る。


「…あ」


と。

遥が、綺麗なお姉さん二人に話しかけられていた。…逆ナン?

きゃっきゃ言ってる二人に、小さく控えぎみに笑う遥。

逆ナンしてくる人にも笑うんだ。

悲しくなって、見たくなくて、遥に背を向けた。
必死にオシャレしても、綺麗な人たちの隣に立てば、何の意味もない。
ましてや、彼女です。なんて言えない。

泣きそうになったとき。



「彼女?泣いてるの?」


聞こえた言葉と共に、肩に誰かの手が乗った。