「それ、ウルペース少佐かも」
クルシオの問いに的確に答えたクリュ兄の証言だけで、
デンスは男を推定したようだ。
「そいつはどこだ」
若干キレ気味のクリュ兄。
デンスが居場所を答えたら、すぐにすっ飛んで行きそうだ。
「今は会議中なはず。
会議室及びその周辺区画は、関係者以外立ち入り禁止だ。
コンピュータによってセキュリティが成り立っているから、力ずくでも入れないよ」
プルルルルル……
初めて鳴った、男子部屋の壁に備え付けられている電話機。
タイミングがタイミングなだけに、誰もがかたまった。
電話機にいちばん近い俺が深呼吸の末に出る。
「…はい」


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