クリュ兄がそのワードを口にして、俺の肩は小さく上がった。


「…心当たりがある」


「!!」


その言葉に、男子部屋の空気が張りを持った。


「今朝ステルラと二人で歩いてたら、

男に絡まれてる女の人を見つけて、

ステルラと俺で男を追っ払ったんだ」


クリュ兄がわざわざ言わなくとも、

そいつに恨まれたのかも。

なんてことは誰しもすぐに分かった。


だから、クリュ兄も言わなかった。


「どんな男だった?」


「背が俺の鼻先くらいで、

歳は…おじさんかお兄さんのチョイスに迷うあたり。

髪は光の反射が激しいシャイニーブラックで、

キツネみたいな…細い目をしていた」