そう言い聞かせるように言ってみても、何故か胸の中がモヤモヤする。
今はどこをどう見ても女だけど、アレだって天音は男なんだよね。
女装じゃない天音を隣に想像すれば、華とお似合い。
なんだかんだ言っても天音も男なワケで、男だったら、華みたいなカワイイ子が絶対好きだよね……。
少なくとも私みたいな性格の曲がったイジワルな女より、ふわふわして女の子らしい華の方がイイに決まってる。
「てか、あの男苦手な華がマトモに話してるなんて、メズラシイじゃない。こりゃ、ひょっとして華に取られちゃうかもねぇ~。」
くっくっくと笑う蘭子。
胸がぎゅうっと締め付けられて、きつく唇を引き結んだ。
でも意地っ張りな私は何も言えなくて、
現実を振り切るように足を速めた。
そして、曲がり角で正面から来た集団にぶつかりそうになって
顔を上げて……引きつった。