「ぐえっ!」
「ぅお!」
「ぎゃっ!」
俺の後に続いて階段を上がってきていたツレ三名も巻き込んで、段下で止まった。
シンガリでまだ階段を上がっておらず、この難を逃れた唯一の人物
この家の住人である万里(ばんり)が階上を見上げ、げぇっ!と顔を引きつらせた。
「なんで帰ってきてんだ、千里(せんり)。」
千里・・・千里ちゃんてのか、このカワイイ天使は。
打ちつけた背中の痛みもそっちのけにそんなことを思う。
「何なのコイツ等。」
「いや、だって、お前、今日、トモダチん家泊り行くとか言ってなかったっけ?」
「ダカラナニ?そのトモダチがいきなり彼氏ン家に泊りに行くコトになった♪とか言ってドタキャンされて帰ってキマシタガ?だから、なんなの!?」
「いや、だから、その・・・」
口籠る万里に、天使はくわっと牙を剥いた。
「私がいないからって、勝手に家に男なんか上げんじゃないわよっ!家に男くささが染み付いたらどーしてくれんのっ!アンタ今晩かけて家中、殺菌消毒消臭しといてよねっ!」
天使ちゃん・・・
俺たちゃGと同等なんすっか?
万里が「俺のトモダチはゴキじゃねーよぉ・・・」とちっちゃく反論するのも当然のように無視。


