挑発的な私に、拓真は足を止めて向き合った。
真っすぐに、真剣と言うよりはちょっと怒ってんじゃないかと言う気難しげな顔で。
暫く私を見詰め、
不意に
ちゅ
「…これで分かれよ。」
ほんの一瞬唇を重ね、そう言い捨てた。
想定外の出来ごとにぽかんとしているといきなり腕が掴まれた。
拓真は小声で喚きながら、私を掴んで早足に歩き出した。
「ぐぁぁぁぁあ。俺が路上でキスとかアリエン。天音のチャラ菌が移ったか!?二度としねぇ。ゼッタイしねぇ!!」
拓真……羞恥で憤死しそーな勢いだ。
というか天音のチャラ菌って…(笑
少し前を行く君の首筋まで赤く染まってるのを目にして、思わず笑い出した。
ナニ笑ってんだよっ、と怒られたケド…
あぁ…好き。だな。
自称、古風な亭主関白―――
だけど単なるシャイでヘタレの君。