コンコンと控えめなノックがして
「お兄ちゃん。ご飯出来たケド……」
扉の外から気を使った直子ちゃんの声がした。
「お~食う食う♪」
ぱっと輝く笑顔を浮かべる貴史。
…てぇ、
やっぱオマエ、色気より食い気かよっ!!
貴史があたしに顔を戻す。
「蘭子も……て、そーいやイタリアン―――
「食べるに決まってるでしょっ!!お陰さまで、入る前に帰ってきたから食いっぱぐれたわよ!」
ふんっと鼻を鳴らして、せめてもの反撃に貴史より早く立ち上がった。
こうなったら、貴史より一杯食べてやるんだから!!
直子ちゃんの料理美味しいしねっ。
…って、あたしも食い気かよ……