ココアの缶を握っていた手がそっと取られた。
……え?
きょとんとしている間に、手が導かれたのは廉太郎君の左胸。
「……顔には出ないタイプだけど、これでもいつも結構ヤバイんだ。断られるんじゃないかって…」
前を向いて言う廉太郎君は相変わらず飄然としてるけれど。
掌に伝わる鼓動は私と同じくらい忙しなくて……。
「好きな子相手にそうそう余裕かましてられる男なんていない。」
さらっと続いたそんな言葉に、また私の鼓動は早くなった。
ど……どーしてそういう事をさらっと言っちゃえるの~。
これ以上ドキドキさせないでよ
…廉太郎クンのバカ。


