連れてこられたのは入り口付近にある自販機スペース。
私にココアを手渡して、廉太郎クンはコーヒーを手にソファーに座った。
「座れば?」
「……は、はぃ。」
促されて、油の切れたロボットみたいに廉太郎クンの隣ヘ腰を下ろす。
心臓は未だかつてナイくらいにバクバクしている。
……き、きす……するの?
ここで…?きす…?
ふぁーすときす……
膝の上でぎゅ~と掴んだココアを見詰め、緊張で固まった。
……。
だけど……あれ?
「…しない、の?」
いつまでも動かない廉太郎君に思わず訪ねる。恐る恐る。
「…は?ナニを?」
「何って……き、き、きす?」
「あぁ、さっきの。冗談に決まってる。」
き、……決まってたんだ!?
冗談だったんだ!!


