向けられたその瞳に。
表情に。
どくっと心臓が唸る。
いつもチャラけてて、時々情けない顔をして。
私はほとんど馴染みのナイ―――男の子の貌。
「千里ちゃんが俺を好きになれないって言うならそう言えばイイよ。だけど千里ちゃんを好きで、一緒にいたいって俺の気持ちを勝手に否定すんのはヤメテよ。」
…なんでよ。
何でよ何でよ何でよ。
顔だけが目当てって言う男の方がまだ理解できる。
この期に及んで何でコイツは私を好きだなんて言えるのよ。
イラついて反論しようとした矢先、天音が口を開いた。
「まぁ、イイ性格とは言えないよね。やたら強気だし、負けずキライだし。策略家だし。乱暴者だし。イジワルで男に女装させよーとか、その趣味もどーかと思うし。」
そこまで分かって、なんで…っ。