もう辺りは暗くなってから随分たった。
和紗は雑用日であるため、制服を洗濯機に放り込んだり看板を下げたりで大忙しだった。
雪は結局バイトの採用が決まり、あれから今日1日でどんな感じのバイトか把握して黒子の心得を学んでいた。
一方霰の方は、雪の面接(5分)が終わってからひたすら店長と長話。
流石、霰は“あの店長”に唯一目を付けられない立場である。
雪の黒子の心得と言うものはほとんどケイトを見るものだ。
黒子が少なすぎるからだ。
流石メイドカフェ、女天下だ。
「ほぇ~和紗ちんの幼なじみ君か~。私“みゅう”って言うの、よろしくね」
「あたし“まいやん”よ。よろしく」
「これからよろしく」
大忙しの幼なじみとは違いみゅうとまいやんの2人はメイド服から学校の制服にチェンジしていた。
「…その制服…」
まいやんの制服を見てふと思った。
この制服…、
「どうかしたかしら?」
「あ…いや。よろしく。和紗がいつも世話になってる」
「いえいえ~!和紗ちんにお世話になってるの私達の方だから。ね?」
「悔しいながらね。和紗って聞き上手だから。
ほら、このお店ってお客様のお話を聞いて、時には相談にのったりするじゃない?
そう言うの上手だから。」
よく考えると、たしかに和紗は聞き上手だ。
話していると目をあわせて相槌を打っていて…、彼女に話すだけでスッとする。
どうやら心配は不要ー…
『うぎゃーー!』
「はぁ。またなんかしでかしたのかしら」