「お待たせしました」


「ん、どもども♪ほい雪、お手拭き」


「毎回姉さんって選ばせてくれないよな」

「あんたが好きそうなやつ選んどいたから確実よ」


少し伏せていた目。

しかし雪の前にフルーツケーキを置くと、オーラが変わった。


「ホント好きだねフルーツケーキ。」

「まあな。」




そう言えば、お母さんが作ったフルーツケーキ毎回喜んでたな。

と、和紗は納得。

甘いもの好きの幼なじみによくお菓子を持っていったものだ。

ベランダからだけどね。



「和紗ー、注文だってー」


「はーい。んじゃごゆっくり~。」

「ん。」


美味しそうに食べる雪を見て、和紗は少し微笑んだ。





声の主はケイトで、執事がテーブルに座っている。
その前には、焦げ茶のうねうね髪の男が座っている。

ははーん、これが例の友達か。

「御注文は、お決まりでしょうか?」


彼の顔を覗いた。

ふせ目で見ても整った顔だった。


「…」


「?まだお決まりではないのならー…」



無言になられ、あーやっちまった。と思い、頭のペコッと下げて去ろうとした時、



手首をいきなり掴まれた。


「えっ」




「…」






いやいや…無言?



どうしたらいいんだ、私。



その時、彼は開いた。


「気に入った」


「は?」



無意識に声が出た。




「気に入った!お前名前は?!」


「え、あ…和紗。です?」


いきなり手を握られ、マジでどうしたらいいかわからない。


「どしたの和紗ちん?」


フリーズする私を不思議に思ったのかみゅうがやってきた。


「どったの和紗ちゃーん?」

そしてすぐ近くのテーブルの霰も声をかける。







「和紗…



なんて可愛いんだ!」