桜が早くも散っている
4月
私服だった小学校生活を抜け
新しい制服
ランドセルを背負っていた背中には
大きい背負カバン
可愛かった靴を脱いで、
可愛くない白いピカピカの靴...
月野 千登瀬(つきの ちとせ)
12歳 バレーボール部所属(希望)
今日から中学生です
「ちとせー!!」
「ゆうなぁ!!」
向こうから走ってくるのは
去年バレー部で一緒だった日向 由奈(ひなた ゆうな)
2人で並んでクラスが発表されている掲示板に向かう
「千登瀬、千登瀬!!同じクラスだよ!!」
「ホントだぁ!良かったね」
私たちが喜んでいると後ろから二人分の声が聞こえた
「千登瀬ちゃぁ~ん!!ゆうなちゃぁ~ん!!」
2人同時に振り返ると、
去年バレー部で一緒だった
新田 里実(にった さとみ)と渡辺 桃(わたべ もも)
の2人だった
私と由奈は2人のことが苦手だ
「千登瀬、どーする?」
由奈が小さい声で囁いてくる
「んまぁ、テキトーに合わせとくか」
4人の中で同じクラスなのは私と由奈だけ
里実と桃はそれぞれ違うクラスだ
「由奈取り敢えず、教室行こっか」
「うーん」
由奈がダル~いってな感じで
返事をする
東校舎の3階にある1年3組の教室に2人で駆け上がる
「はぁ、はぁっ3階まで疲れるぅ~!!」
「千登瀬早く早く!!」
由菜が私の先を走っていく
由菜の背中には背負カバンが背負ってある
そうだ、私達、中学生になったんだ!!
「よっしぁ!!負けんでぇ由菜!競争!!」
「千登瀬には負けんよ!!」
2人でなれないスカートをたくし上げ、
必死に階段を駆け上る
スカートの下に履いているハーフパンツ(体操服のズボン)が
見えているけど気にしない
最後の三段...
3...2..1.!!
「勝ったァ~!!うちの勝ち!!」
「まけたぁ~相変わらず由奈は早いなぁ~」
2人でドアの前に立って3年生に
制服の胸元に花のバッチを付けてもらった
そして顔を見合わせた
「千登瀬、せ~ので入ろっ!!」
「ふふっ、あたしも今同じこと考えてた!」
もう一度お互いの顔を見て
目で合図を送った
『せ~の!!』
2人で声を合わせて教室の中に向かって
ジャンプした
月野 千登瀬、中学校生活スタートです!!