しばらく動くことができなかった。
私の目は健をうつしたまま。
三秒たった。
私はおそるおそる言った。
「健…今の話聞いてたの?」
「うん…まあ」
「どこから」
「最初から」
その瞬間、健と私の間に美月が横切った。
正確に言うと、健も一緒に横切った。
つまり美月が健に飛び蹴りをしたのだった。
ドゴッという音が公園に響き渡る。
そして倒れこんだ二人の中から美月だけが起き上がった。
美月は撃沈した健に言葉を放った。
「こんの盗み聞き野郎ぉっ!!」
補足して言うと、美月は何もしない子にはとっても優しいが、何かした子にはとてつもなく怖い。

