この夏、私は座敷わらしと出会いました。



その日は実に平凡だった。
眩しい太陽の光が射し込んで、焼けそうになるくらい暑い教室で、私は授業を受けていた。

午後の授業だからか、皆少し眠たそうだ。

黒板に書かれた数式がいっそうクラスを眠くさせる。
そんな私もうとうとしていた。

こんな時に当てられると嫌だなあ、という気持ちとは裏腹に私は当てられてしまった。

｢霧島、この問題解いてみろ｣

霧島秋穂

私はこの名前をあまり気に入っていない。画数が多いしなによりアキホ、という名前がなんだかお米みたいで−。

｢きーりーしーまー｣

｢はっ!ひゃい!｣

ぼーっとしてしまっていた。おまけに噛んでしまいクラスからクスクスと笑い声が聞こえていた。
眠気など飛んでいた。

｢なにぼーっとしまているんだ。はやく解け｣

｢√３＋５です。先生｣

幸い私は優等生だったので、解くのは容易かった。

｢正解だ。よし座れ｣

その授業は無事終わり、私は友達と下校することになった。

これはそんな日常の中の不思議な出会いのお話である