その朝、私のお腹ではっきりと動いたその命を私はこの世に生み出すことを決心した。


不思議と怖くはなかった。



ただ、もしも私がこの子を抱くことができなかったら、この子の将来を思うとこの決心が間違っているのではないかと不安にもなった。




だけど、『彼が生きた証』それを、私の命と引き換えに葬り去ることはできなかった。



たった一人で生まれてきた彼
柔らかい母の腕に抱かれた記憶もないまま育った彼

そして、一人でこの世を去った彼