樹海を泳ぐイルカ





蝉の声が響く。

かすかに吹く風が樹海の蒼い葉を揺らした。


透子の眼は相変わらず凶器のように真っ直ぐで


だけど、鋭い刃は守っているんだ。



奥に潜む、透子の一番弱いものを。









「しないよ」