「彼方、あたしは君の弱さが愛しいよ」 彼女の声が耳の奥で優しく響いた。 生命の全ての傷をそっと包み込まれ、同時に言い表しようのない感情がグッと溢れてそれがじんわりと全身を巡り、やがて涙になりゆっくり頬をつたった。 この気持ちをなんて呼べばいいのか分からない。 この世で初めて呼吸した赤ん坊はきっとこんな気持ちをするのだろうか? いつの間にか樹海に雨が降り注いでいた。 僕の涙と同じ温度で。