樹海を泳ぐイルカ



僕は透子の目をみるのが怖い。

目を合わした瞬間に、16年間かけて作り上げてきたバリアを粉々にくだかれてしまいそうで。

そこに善意も悪意もない。

彼女の視線は、それほど強い。



「此処から飛び降りようとした」

僕の心がズキンと痛む。

「あれは誰?」

「あれは誰の痛み?」



容赦ない問いかけ。



あれは、




あれは、