ふいに透子がクルリと向きをかえて僕の目をみた。 「入学もしてないの」 その強い視線に僕の目は壊れてしまうんじゃないかと思った。 それほど彼女の目は無垢だったのだ。 だけどこの世界は、無垢な人間ほど潰されてしまうから同時に心配になった。 無垢を守るためには同時に汚れを手に入れなければならない。 透子、君のなかには一体どんな獣がいるの?