樹海の前に着いたとき僕はたじろぎもせずに、気付けば奥へと進んでいた。 木々の鮮やかな緑たち。 その隙間からみえる青い空。 何かを捕らえるような、拒むような、その深い緑を進んでいくのに恐怖はない。 むしろ僕はそこで初めて本当の呼吸ができた気がした。 大樹たちが吐き出した冷たい酸素を喉の奥へと通らせて体中に張り巡らせる。 そして不要な二酸化炭素はこの大樹たちのわずかながらのエネルギーとなる。 僕は全てが浄化された気になった。