さっきまで喚起に満ちていた会場がものの数分で静寂になった。 それはどこか虚しく、寂しい気持ちにさせる。 残っていた一組の家族が席を立ち、ついに会場に残ったのは僕ら二人だけになった。 「………終わったね」 「………終わったな」 「ずっと楽しみにしてたの。彼方があたしの夢を叶えてくれたわ」 「楽しかった?」 「すごく。絶対に忘れない。彼方も…どうか忘れないで……」 「……忘れないよ」 そして、僕たちの時間は終わった。