樹海を泳ぐイルカ



何の音もしない。

耳を澄ませば心臓の音も聞こえるんじゃないかと思うくらいに。



「……うん」




僕から出た言葉は、たった一言だけだった。
本当は声をだすのも精一杯だった。





「いってらっしゃい」