「すっごーい!」 魚の群、群、群。 渦巻くようにしてヒラヒラ泳ぐ。 「あっ!可愛い!」 透子は水槽をみつけると楽しそうに飛んでいく。 頬を緩めた透子の目線の先には愛らしい姿のラッコが器用に浮かんでいた。 ラッコは貝をカチカチわって口に頬張っていた。 「透子、みて」 そう言って僕は人差し指を天井にむける。 透子はその方向を目でたどった。 「…うわー…」 天井にも水槽が設置されていて、僕らの頭の上を魚たちが泳いでいたのだ。 魚が空を飛んでいるような不思議な気持ちになった。