「すごい…」 見上げると遙か高くそびえ立ついくつものビルが並ぶ。 その隙間から少しみえる青い空。 鳴り響く車のクラクションと、街ゆく人の喋り声。 「ひろいね…」 「うん…」 高鳴る心臓をとめられることはできない。 自分がすべてだと思っていた場所はあまりに狭かったのだ。 「彼方、行こう?」 「あ、うん。水族館、あっちだって」 僕はパンフレットを片手に歩きだした。