樹海を泳ぐイルカ



僕たちの田舎町がどんどん離れていく。


沈黙したバスのなかで、緊張した拳だけ感覚があった。


やがて田園の緑の煌めきがなくなって、砂利道ではなくコンクリートの道にさしかかったころ、たくさんの大きなビルがそびえたっていた。


もうそこは別世界。




人がたくさん並ぶバス停に僕らを乗せたバスがゆっくりとまる。



「透子、ついたよ」





バスから降りた田舎者の僕らは街の大きさにしばし圧倒された。