ふわりとした暖かな温度が僕を包む。 透子が僕を抱きしめていた。 「大丈夫…大丈夫だよ」 静かにこぼれる彼女の言葉が傷口に沁みた。 透子の腕の中で、意識が朦朧とする。 透子、君が魔物なら 世界すべてが嘘なんだ。 たったひとつ、真実は君だけだよ。 透子が叫んだ、彼の名前。 守れなかった、自分への嫌悪感。 抱きしめてくれた、透子の温度。 それでも廻る、僕の世界。