BANDS SERENADE






たぶん、私はほんとに一般的な、ほんとのほんとに一般的な女子高生だったと思う。





授業中は寝て、
休み時間は友達とはしゃいで、
帰り道にカラオケとか、ショッピングとかして、
帰ったらご飯食べて、
部屋で雑誌とかマンガ読んで、寝る。




夢もないし、目標もない。ただ、毎日楽しんで生きてた。


親とかはもっとちゃんと勉強しろとか、夢を持てとか、うるさいけど。私はその生活で満足してた。



そう…あの決断をするときまでは…












「ねぇ、ねぇ!!!!やろうって!!!!!」
また来た。よくこりないなぁ。こいつ。
私はいつものように露骨に迷惑そうな顔をして答える。
「やんないって。興味ないから。ほんとに」
それでも奴はしつこくついてくる。
「いやぁ、やってみたら楽しいってことも…あ!ね???吹奏楽とそんな変わんないって。」
「全然ちがう。ほんとやめてよ。」
きつく言うとやっと私から離れて行った。
「悠斗くん、ほんとめげないねー。毎日きてんじゃん」
美波がケラケラ笑いながら言う。
「私、ほんとにやる気ないってわかんないのかなぁ。」


さっきからずっと私につきまとっていたのは吉井悠斗。

最近、ずっとバンドやろう、ベースやってくれ。
ってつきまとってくる。
私が幼なじみで少し中学のとき音楽をかじってたから頼みやすいのか、私のところにしか来ない。
他あたればいいのに…
って心底思う。

私、弥生紗奈は全くもってバンドというものに興味がない。
音楽も…好きじゃない…

悠斗も好きじゃない…

あいつの誘いにのる理由なんか、ひとつもないんだ。

「悠斗くん、モテるんだから、他の女子あたればすぐOKしてくれるよねー」
「あー、なんかね、バンドでもベースって地味じゃん???だから誰もやりたがらないらしいよー」
そう。
あいつはかなりモテる。
少し茶髪がかった髪、白い肌、ぱっちりな目。
確かに整ってる顔だけど…
それが無性ににムカつく…

ベースなんて、バンドの中で地味だし。
バンドって、激しいイメージしかない。
そんなもの誰がやるものか。

「まぁ、お金もかかるしねー。」
美波はそのままその話題はどうでもよくなったようで、きのう来た迷惑メールの話をし始めた。

でたよ…美波のマシンガントーク…
まぁ、そんな美波の話をきくのも嫌いじゃなかったりする。

昼休みは、美波の迷惑メール談義で終わっていった。



帰りになって彩名と七海が呼びかけてきた。
「紗奈ぁー。今日はカラオケいこー。」
「いいよー」
彩名と七海は同じクラスの子。
美波と私とこの2人。だいたいこのグループでいる。
美波は彼氏の部活のマネをしてるから一緒に遊べないことが多いのだ。

美波にばいばいを言って、私たち3人は教室を出た。
そこで待ちうけていたのは悠斗だった。
「これ、聞いて。」
差し出してきたのは一枚のCD。

FLAGTIP…???

「あー、フラチだぁー」
七海がCDを指差して言う。
「俺、このバンド好きなんだよ。聞いてみて。」
それだけ言ったら今回は去って行った。
「悠斗くんがフラチ好きとはなんか意外ー」
「たしかにー、フラチって女の子のファンのが多そうだもんねー」
七海と彩名はFLAGTIPを知ってるらしい。
「どんな曲歌うの??」
軽く私が聞くと
「はぁー???知らんのかい。まぁいいや。私がカラオケで歌ったげる!!!!!」
と七海は私の手をひっぱりながら下駄箱へ走った。


そのあとのカラオケで聞いたフラチの歌は、思った以上にポップな感じで、私のバンドのイメージを少し動かした。

それを2人に話したら
「ばかー???紗奈の思ってたバンドって、激しいかんじのパンク系でしょ???」
って笑われたんだ。

悠斗に渡されたCDを見てみる。


バンド…ねぇ???
まぁ、聞いてみるだけ聞いてみるか。


このときは悠斗の誘いにのる気なんて、さらさらなかったんだ。