「楽しかったですね、お料理も美味しかったし」


「ああ…」




初めましてと成瀬が私に言った手前、私は賢治に成瀬との関係を深く聞かないでいたが二次会の帰り道、賢治の様子は成瀬に会ってからおかしかった


どうしたんだろう…



家に帰り玄関のドアを開けると、いきなり廊下の壁に押さえつけられ賢治に唇を奪われた


いつもの優しく余裕のある口づけとは違い乱暴で息も出来ない深い口づけ





「……っっふぅ」




「ハァ…ハァ…賢治さんどうしたんですか?」


呼吸を整えながら賢治を見つめた


すると賢治は何も言わず強く私を抱きしめた



「華、俺……」


何かを言いかけ賢治は首を横に振った



「いや、何でもない

俺達も結婚式挙げようか…?」



「えっ?」


戸惑う私に


「…うそ冗談」


賢治は自嘲気味に小さく笑った



「ごめん俺、今から仕事行かないといけなくなったんだ」


「…えっ?」


思わず賢治を見上げる私に


「ごめんな…」

と言い賢治は優しく頭を撫で書斎に入って行った




賢治の後姿を見ながら嫌な胸騒ぎがした