「実は今日、華に紹介したい人がいるんだ」




食事まで時間があるからとラウンジでコーヒーを飲みながら父から放たれた一言



「へっ??」


マヌケな返事と共に右手に持っていたカップを思わず落としそうになる




「華もいい年だし結婚を考えた方がいいと思ってな」



私に理解力がないのか父が冗談を言っているのか今の状況を全く把握出来ない



「ち、ちょちょちょっと待ってよ
いい年って私まだ24よ‼
やりたい事だってあるし…」



「華…、お父さんの会社が危ない状況なのは、もちろん知ってるよな」



父の言うように父の会社は資金が回らず今かなりヤバイ状況にある


そんな事、分かってる…

それを知っているからこそ私自身も昼は商社で派遣、夜は銀座でホステスと身を粉にして働いてきたつもりだ


なのに…



「だからって…」


私の声は、どんどん小さくなる



「華には申し訳ないと思ってる」



母を幼い頃に亡くし父は男手ひとつ私を大学まで出してくれた




そんな父を支えたいと思う反面





だからって好きでもない人と結婚ってどうなのよ!!!??