私は1年前からIT会社の営業事務をしている


賢治の会社ほど大手でではないが仕事にやりがいも感じていた



成瀬ともたまに会い、こうやって食事をしている



仕事もプライベートも充実しているのに


ふとした瞬間、どうしようもない位の孤独感に襲われる事があった




「そう言えば五十嵐に会ったよ」




「えっ…」


成瀬が口にした彼の名前に少し驚く



「この前、二人で飲んだんだ

二人で飲むのなんて学生以来だよ」


成瀬は私を気にする様子もなく賢治と飲んだ日のことを楽しそうに話している



「そうなんだ…」


聞きたい事はたくさんあるのに私の口から出るのはありきたりな相槌だけ


「華…」




「はい」


顔を上げると優しく真剣な瞳の成瀬がいた





「ずっと、思ってた…

俺と結婚して欲しいんだ」



あまりにも自然過ぎる成瀬の一言に返す言葉が見つからない