私のパパは、福田株式会社アメリカ支社の社長を長年勤め、その後福田株式会社の本社である日本の社長を数年勤めた。


その関係で、私も小学校までアメリカで過ごし、中学は日本、高校から大学まではパパとママの元を離れ、アメリカに留学して経営の勉強をし、その後今の仕事に就くまでアメリカで働いた。


パパは本当ならまだ社長の仕事をしてるはずだったんだけど、元々心臓に病気を持っていて、あまり無理をしたくないってことで早期退職したの。


そして、世界中にある福田株式会社のトップに君臨する日本の社長の仕事を継いだのが私。


昔からパパの仕事を継ぎたくて、一生懸命勉強してきた。


まだまだ若いし、社会人経験も少ないから、社長の座に就くことは社内の重役の人に反対された。


それでも私のやる気を汲み取って、「業績が落ちたらクビにしていい。だからやらせて欲しい」って頭を下げてくれたのはパパ。


パパのおかげて、「社長に就任して最初の1年の結果を見る」って条件付きだったけど、なんとかパパの仕事を継ぐことが出来た。


だからこの1年が勝負なんだけど、今のところ経営状況は順調、ヒット商品も何品か出すことに成功した。


「うーん」


メールを読むのに疲れて伸びをするのと同時に、デスクの置いてあったスマートフォンが電話の着信音を鳴らした。


「あっ、ママだ」


相手はママで、急いで電話に出る。


「ママ?どうかしたの?」


この頃忙しくてママに会えてないから、電話をくれたことが嬉しくて声が弾んでしまう。