「ごめんな。俺の車が車検で、一日出してるんだ。」
智という人は俺に向かって軽く頭を下げた。
そんな姿も、今の俺にはおこがましいように思う。
今の俺はどんな表情なんだろうか。
笑ってんのか?
怒ってんのか?
泣いてんのか?
悲しんでんのか?
目の前にいる未那は幸せそうな顔をしていた。
キレイな笑顔で笑ってたんだ。
それは彼氏が隣にいるから、だろ。
もしも、俺が今日もそこに座っていたら、同じように幸せそうに笑ってくれたんだろうか。
「じゃぁ、雅、私たちは降りるからここに座って?ずっと立たせててごめんね?」
「いや・・・別に。」
「じゃぁ、またね。」
「・・・また。」
未那が先に席を立ち、その後に智さんが立ちあがる。
そして、俺の前を通る時、少しだけ頭を下げてバスを降りて行った。
やっぱり、その人は男の俺からしてみてもかっこいい人だった。
服を着ていても分かる男らしい体つき。
髪型も俺みたいに子供っぽさは無く、全体的に大人な雰囲気が漂っていた。
俺は未那が座っていた席に座った。
そして、自分の膝を思いっきり殴った。
悔しくて、苦しくて。
どうしたらこの気持ちが収まるのかわからなかった。


