俺が初めてこの人を見たのは、あのファミレス。
「雅?起きてる?」
「お、おう・・・。初めまして。雅です。」
ボーっと何も言わない俺の顔を未那が覗き込んできた。
「君が雅くんか。高校生の。」
「はい。」
未那の隣にいるこの人。
いつも学校で一緒にいるのか?
彼氏、なんだもんな。
でも、いつもその席に座ってたのは俺なんだ。
学校では一緒にいるのかもしんねぇけど、朝だけは、この時だけは未那の隣の席は俺の席なんだ。
でも、俺にそんな事を言う勇気はない。
智、というこの人は俺に向かって何かを話している。
その俺は今、頭の中が真っ白の状態だった。
なんで、なんでだよ。
いつもここにはいないだろ?
なんで、どうして、今日はあんたがここにいるんだよ。
「雅、席取れなくてごめんね?疲れてるよね?」
「・・・俺は大丈夫。」
疲れなんてどうでもいいんだ。
ギターが俺の背中をグッと押してくる感覚が、俺の胸を余計に締め付けた。
それでも、今の俺は未那の隣に座れない。
未那の隣に座るのにふさわしい人がいるんだから。


