目の前にいる直登は、すごくかっこよかった。
「その、なんだっけ。ミナさん?好きなら好きでいろよ。でも、考えるのは部活以外の時だけにしてくれ。」
「・・・直登。」
「それ以外の時ならいつでも相談のってやっからさっ」
右手でトンッと俺の肩を叩く直登。
今すぐには、未那のことを頭から外すのは難しい。
でも、確かにバンドに迷惑をかけてるのはわかってるんだから。
やっぱりそこはしっかりしねぇと。
何度こうやって迷惑をかけてきたんだろうか。
わかってただろ、俺。
なのに、何回も何回も同じことを繰り返して、同じように悩んで迷惑かけて。
わかってんだったらやめたらいい。
ただそれだけのことができない俺はホントに、どこまでちいせぇ男なんだよ。
「紗奈だって、雅がこのままだったら踏ん切りつかないだろうしな。俺も頑張ろっ。」
「んあ?」
「んい~や、なんでもね。部活戻ろうぜ。頭んなか、整理できたか?」
「あ、あぁ。まぁ、今日はできる限りのことはするわ。また失敗するだろうけどな。」
「そんな弱気でどうすんだよっ。いつもの雅でいけや!っつうことで、俺先に戻るぜ。」
足早に俺を残して戻って行った直登。
きっと、あと少しだけ俺に時間をくれるってことだろう。
これって、無言のなんとか、って言うんだっけな。
俺は壁にもたれかかって目を閉じた。
そして、一度だけ深く息を吸ってフゥーッと息を吐いた。
壁から背中を離して、今俺がやるべきことがある場所へ急いだ。


