今、目の前にいる紗奈は何を俺に伝えたいのか、俺にはわからなかった。
ただただ、目の前で寂しそうな顔をする紗奈を見ていることしかできなかった。
「雅は、あのお姉さんのことが好きなの？」
「え・・・？」
「そんなにお姉さんのことを気にするってことは、そうなんでしょ？」
俺が、未那のことを、好き？
そんなこと、自分では考えたことがなかった。
でも、今紗奈に言われて、なぜか心が動いた。
それは、この気持ちがそういうことなのかどうか、俺を余計に戸惑わせたからだ。
「雅、あのお姉さんの話を初めて私にしたとき、嬉しそうだったでしょ？」
「あれは、タオルを借りたから。」
「違うよ。好きだからあんな顔するんだよ。」
「いや、俺・・・好きとか、考えたことないし。」
そう言った自分。
でも、心がギュッと苦しくなったのはなぜ・・・？
「私にはわかる・・・。だって、私がそうだから。」
「え？」
「私が雅を見てるとき、雅の話をしてるとき、いつも嬉しくて楽しくて仕方ないから・・・。」
「さ、な？」
「私、雅のことがずっと好きだった」
