それでも更に沈黙が続いた。
どれくらいお互い黙っていたんだろうか。
ドリンクが届いてもお互い飲むこともなく、氷がカチッと音を鳴らし始めた。
「雅。」
やっと紗奈が話を始めた。
その顔は、やっぱり寂しそうで、俺の心がグッと寂しくなる。
「雅が今日みたいなミスをすることってめったにないよね?」
「あぁ。その件は悪いと思ってる。」
「あの、昨日のお姉さんが原因?」
やっぱり、その話だよな。
紗奈はどうして俺があんな失敗をしたのか、その原因を聞きたかった。
でも、半ば予想がついていて、それを確認するためにこうやって俺に聞いてきたんだろう。
「・・・紗奈には関係はないだろ。でも、メンバーに迷惑をかけたことは本当に」
「関係あるよ!」
俺が話してる途中でも、紗奈は口を挟んできた。
「関係あるんだよ。関係なかったらこんなに聞いたりしないよ。」
「だから、迷惑かけたことは謝る。これからは、今日みたいなことがないようにするから。」
「そういうことじゃなくて・・・」
またしばらく沈黙が続く。
この空気が俺と紗奈の気持ちを更に暗くしていく。
なんでなんだろう。
紗奈がここまで俺の私情に踏み込んでくることなんて今までなかったのに。


