『紗奈、泣いて帰って来たぞ』
直登のあの言葉が俺の頭の中をよぎった。
今こうやって笑っている紗奈が、泣いてた。
でも、昨日電話あったし、その時は普通に話してたし・・・。
やっぱ、わかんねぇ・・・。
「雅?どうしたの?」
「あ?いや、なんでもねぇよ。じゃぁ、俺帰ってギターれ」
「・・・雅?」
練習する、そう言いたかったのに言えなかった。
それは、キミが原因だった。
「ねぇ?雅?」
紗奈が俺の名前を呼ぶ。
でも、俺はそんなことよりもある光景に意識が集中していた。
紗奈も、俺が見ている方を向いた。
俺が見ていた光景。
それは・・・未那と1人の男の人が会話をしている光景だった。
「雅の知り合い?」
紗奈が俺に質問をしてくる。
その質問にどう答えていいのか、それを考えることすらどうでもよかった。
だって、だって・・・。
未那は・・・哀しい顔をしていたから。


