学校を出てしばらくすると「雅!」と俺を呼ぶ声がした。
後ろから聞こえたその声の主は紗奈。
「紗奈、どうした?」
「あのね、楽譜ちょっとおかしいような気がするところがあって。聞きたいんだけど。」
「まじか。一晩で仕上げたしミスがあるかもな。チェックするわ。」
急いでやったし、見直しもままならなかった俺のミス。
俺と紗奈は近くのファミレスに寄った。
ドリンクを頼んで、楽譜を机の上に開く。
「ここなんだけど、他とテンポが合ってないかも。」
「えっと・・・そこは・・・」
確かにそこは紗奈の言う通りテンポが合ってなくて、明らかにおかしかった。
やっぱ焦るとこうなっちまうんだな。
「じゃぁ、ここはこうしてくれ。これだと合う。」
「わかった。ありがとう。」
「いや、俺こそこんなミスして悪かった。」
「一晩中考えたんでしょ?」
「気づいたら朝だったな。宿題も済んでなかったし、余計大変だった。」
「それは雅の責任でしょ?」
「楽譜も俺の責任。」
「あ、そっか。」
俺の前でこうやって笑う紗奈。
昨日はこんな顔一切見なかったのに。
人間ってやっぱり喜怒哀楽ってあるんだな。
喜んで、怒って・・・哀しんで。


