何を期待したのかはわからない。
けど、俺はこの人と一緒にいたいって思うことがよくある。
この時の俺はまだ子供過ぎて、その気持ちをなんていうのかわかっていなかった。
一緒にいたいっていうのは、確かに距離があったら無理なことだ。
だから俺は、今未那に言われた一言で心が跳ね上がったんだと思っていた。
「そぉだな。俺ももっと未那のこと知りたいし。」
「え?」
「・・・え?」
俺、今何か変なこと言ったか?
普通に、未那のこと知りてぇなって思っただけなんだけど。
「あ、いや。なんでもないわ。じゃぁ、降りるわね?・・・また明日ね。」
「あ、うん。じゃぁまた明日。」
そう言って未那はバスを降りて行った。
『また明日』
その言葉は俺の心に深く刻まれた。
友達とだって言うこの言葉が、未那に言われると特別な言葉に聞こえた。
学校に着いた俺は、まず視聴覚教室に足を運ぶ。
視聴覚教室には誰もいなかった。
でも、俺は昨日の朝のことを思い出す。
紗奈がここにいた。
この時間に誰もいないはずのこの教室に、昨日は紗奈がいたんだ。
俺は、どうしてもそのことが引っかかっていた。


