俺の頑張ったカイもむなしく、バスの扉が閉まりバスが・・・
「早く乗りなさい」
ですよね、そうなりますよね。
俺がもっと早くに・・・って!?
そこには優しい笑顔で俺を待ってくれているバスのじいさんがいた。
俺はなんとかギリギリバスに乗ることができた。
バスに乗っていた人たちは俺のことをジッと見てたけど、んなこと今の俺には関係ない。
とにかくバスに乗れたことがこの上なく嬉しいと思う。
「すみません、ありがとう、ございますっ」
「学生も大変なんだな。頑張れよ。」
このじいさんが優しい人で良かった。
俺はバスの空いている席に座ろうと思った。
でも、やっぱり最後に乗っただけあって席は空いてない。
けど、ここからあと30分はバスに揺られることになる。
ギター降ろしてぇ・・・。
でも、どうすることもできない俺は吊革に手を伸ばす。
「座る?」
その時、俺の耳にその言葉が聞こえてきた。
まさか、俺に言ってくれてるのか?
んなわけねぇよ、と思ってたら「ねぇ?」と言われた。
今度は学ランの裾を引っ張られながら。
「え?あ、俺?」


