「ちょっと待って」とだけ言って、一つ一つチューニングしていく。
やっと全部合ったところで、フゥッと息を吐いた。
「あ、できた?」
「おう。久々だからな。間違えるかも。」
「全然いいよ。観客は私だけだもん。」
「だな。って、よくはないかもしれないが・・・。」
「え?」
この曲は、未那が海外に行ってすぐに作ったあの曲。
その後も何曲かは作ったけど、一番のお気に入りはこれだ。
この曲を聞くと、何もかも思い出せた。
自分で作っておきながら、一人で感動したりして。
紗奈たちも絶賛だったこの曲。
いつか未那にも聞かせてやりたいと、心のどこかでは思っていた。
でも、それは叶う訳がないと諦めていたのも事実。
それなのに、まさか本当に、未那に聞いてもらえる日が来たなんて。
今まで頑張ってきてよかった。
今まで、未那を想い続けてよかった―――。
「んじゃ、弾きます。」
「はい。」
二年前、俺が未那に聞かせたかった、俺の想い。
あのとき届けられなかった想い、もう届けられないと思っていたこの想い。
―――今、未那に届ける。


