頭をかきながら苦笑いをする直登。
こういうところが、こいつのいいところだと思う。
すげぇ人想いな優しいやつ。
「・・・雅、ごめん。」
「あ、いや。俺も、何か悪かった。・・・また明日な。」
「うん・・・」
紗奈も本当はすげぇいいやつ。
俺の傍にいてくれていつも支えてくれてるのは紗奈だ。
俺はこんなにもいいやつらに囲まれてんだな。
「あ、陵にも伝えといてくれよ。あいついつも通り四時くらいに来るんだろうから。」
「まかせろっ。じゃぁな!」
「おう。」
視聴覚教室を出て、下駄箱へ向かう。
上履きを履き替えようとしていたとき、後ろから声が聞こえた。
「雅っ」
「ん?あ、紗奈。」
そこには息をあがらせた紗奈がいた。
「雅、ごめんね。私、今日」
「いいよ。」
「え?」
「なんかあったんだろ?友達なんだから、なんでも相談しろよな?」
「・・・雅」
「明日、曲と歌詞持ってくっから。じゃぁな!」
俺は紗奈の方を振り向くことなく、足早に学校を出た。


