未那は俺を、愛してくれないと思っていた。
そんなこと、あり得ないと思っていた。
「届かないんじゃない。届いたのに・・・俺はこの手を、もっと伸ばせばよかっただけだったのに。」
時間が悪いんじゃない。
俺が、悪かったんだ。
「少年、今からでも遅くはないのでは?」
「・・・その、少年ってなんすか。」
「若いなぁと思ってさ。」
頭の後ろで腕を組みながら「ははっ」と笑う智さんの姿も、まだまだ若いと思ったんだけど。
それを言うとまた何か言われそうなので・・・やめておこう。
「雅くん、未那は傷つきやすい。」
「・・・はい。」
「俺が言うのもなんだけど、壊れやすい。割れ物みたいだな。」
「そうすね。」
「だから、丁寧に扱ってやれよ?」
「当り前じゃないですか。って、まだ未那が俺のことを好きだって決まってないですけど?」
「さぁ、どうかな。・・・なぁ、未那。」
・・・はい?
智さんの左手に握られていたのは、智さんのケータイ。
ケータイは開かれていて、ディスプレイには・・・『未那』の文字。
「・・・え、これ・・・」


